第1回 左官職人

「左官」とは、土壁や漆喰壁を塗る職種のことです。左官職人さんは、土、砂、藁、石灰、そのほかさまざまな材料と水を按配しながら、最終的な表面仕上げを仕事としています。日本では長い間、壁といえば左官による塗り壁を指しました。土間の床である三和土(たたき)、台所の竈(かまど)づくりも左官の仕事でした。高度成長期、新建材やビニルクロスなどによる乾式工法の普及で、左官工事が減少する傾向にありましたが、最近になり、漆喰・珪藻土・土等の自然素材を使用した壁が見直されると共に、手仕事による仕上げの多様性や味わいを持つ、左官仕上げの良さが再認識されてきています。今回は、熟練の左官職人さんご兄弟をご紹介しす。 
左官職人の作業風景 

 

山田 勝
山田建築工房 山田左官店
山田 勝やまだ まさる
昭和12年生まれ 出身地:静岡県伊豆の国市長者ヶ原

寺の奥様の紹介で、神奈川県鎌倉市の左官親方に弟子入り。5 年間左官修業に励み、しばらくその親方のもとで左官業に従事。その後28歳で独立し、茅ヶ崎市内で山田左官店を開業。現在に至る。正確で早い仕事内容と、美しい仕上がりが定評で、一般住宅・寺院・茶室・歴史的建造物・築地塀など多彩に活躍中。

山田研一
山田建築工房 山田左官店
山田研一 やまだ けんいち
昭和25年生まれ 出身地:静岡県伊豆の国市長者ヶ原

中学卒業後、兄と同じ職業を選び、兄が修業した左官親方に弟子入り。5年間左官修業の後、兄の左官店勤務。現在に至る。
兄の右腕として忙しい毎日を送る。

 

左官職人の作業風景

左官職人の作業風景
左官職人の作業風景
左官職人の作業風景

 

 
前半の動画は、小田原市内Y邸和室内部の壁仕上げ中です。「京壁」という種類の仕上げ材料を薄く二回重ねることにより、より均一に仕上げることができます。後半の動画は横浜市内都筑民家園という公園に新設されたお茶室の内部と外部です。内部は「石膏プラスター」という中塗り材を専用のコテで塗っています。下塗りと中塗りを平らにしておかないと、仕上げの上塗りがうまく仕上がりません。最後の動画は、壁のヒビ割れを防ぐため「わら」を混ぜ、雨に強い「ジョリパッド」という仕上げ材で外部を仕上げている場面です。 

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