宮大工のよもやま話ホーム > 手仕事の道具たち > 第3回 鋸(のこぎり)
木材の切断、加工に使われる基本の大工道具
誰もが知っている慣れ親しんだ大工道具、「鋸」。しかし、電動工具や替刃式の鋸の出現で、鋸鍛冶や職人がつくる手打ちの鋸が使用される頻度は次第に少なくなってきました。 それでも、宮大工の世界には、手打ち鋸を大切に使い続ける職人さんたちも多くいます。
鋸には片側の側面のみに刃がついている『片刃鋸』と両方の側面に刃が付いている『両刃鋸』があります。
両刃鋸の両刃にはそれぞれ「縦挽目」と「横挽目」があり、「縦挽目」は木の繊維の方向に沿って切断するための刃(右写真上)、そして「横挽目」は木の繊維に直角に切断するための刃(右写真下)がついており、「縦挽目」は刃の目が大きく、「横挽目」は刃の目が細かい構造になっています。
鋸は古代にもその出土品から原型となるものは存在したと考えられますが、鋼材から目を切り出すという精密な技術が必要なことから、建設の現場で本格的に使われるようになったのは、鎌倉時代ぐらいからとされています。 さらに江戸時代には木工技術も進化し、加工の工程に合わせてその種類も増えていきました。
時代が進むにつれ「片刃鋸→両刃鋸(大正・昭和〜)→替え刃・電動鋸」と鋸の主流は変化しましたが、誕生以来長い間使われてきた「片刃鋸」はその後に生まれた鋸よりも優位性、信頼性が高く、現在でも宮大工は、様々な加工の場面で使い続けているのです。
実際に使っているところを動画で見てみましょう
上/縦挽目(たてびきめ)
下/横挽目(よこびきめ)
■ 両刃鋸
■ 片刃鋸(鼻丸鋸)
■ 前挽鋸
丸太を製材するために使われる鋸
■ ブッキリガガリ
鋸刃が撞木柄(しゅもくつか)に角度をもって取り付けられているので
長い刃渡り全体を使った作業が可能となる。