宮大工のよもやま話ホーム > 手仕事の道具たち > 第5回 釿(ちょうな)
荒削りに使用される日本独特の伝統工具
のみは組手や仕口などの精密な加工に用いますが、こちらの釿はもう少し荒削りに木材を削るための日本独特の伝統工具です。 柄がカーブを描いてその先に刃が柄と直角になるように取り付けられています。 柄の部分には主に「えんじゅ」の木が使用されます。
古代より釿は柱や梁などの表面を荒くはつったりするのに使用されてきましたが、現在では製材機などの登場により、すっかり使われることが少なくなりました。
しかし、機械では出せない風合いもあり、現在でも宮大工はこの道具を使います。使い方は、木材に勢いよく振り下げ、刃先で削り出すという動作を繰り返し行います。
釿は「釿始め」と言って、墨壷・墨さし・曲尺とともに儀式にも使われる道具でもあります。正月や現場開きの際にこの道具を神前に備え、工事の安全を祈願します。
ゴツゴツとした木肌はそのままに、綺麗なカーブを描いて整形されたその姿。 荒々しさと美しさを兼ね備えた日本の伝統工具です。
実際に使っているところを動画で見てみましょう
■釿の柄
木材を縛って湾曲させた後、先端に刃を取り付けて使用します。